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2024年度シラバストップ > 高Ⅰ年6組 > 地歴・公民 > 歴史総合

教科
科目
学年・組
授業時間
担当者
地歴・公民
歴史総合
高Ⅰ年6組
週2時間
佐藤一樹

到達目標


本学における医進サイエンスコース歴史科目の最大の特徴は、「哲学」・「宗教」における先哲の思想的理解を深く行うことを通じて,人間尊重の精神と生命に対する畏敬の念を育て,他者と共に生きる主体としての自己を確立する部分にある。
医進サイエンスコースの根幹には「医師や研究者のマインドを育成する」というものがあるが、欧米における医師や研究者は、驚くべきほど哲学や宗教に対する造形が深い。それは彼らが扱っている分野の根幹に哲学や宗教があり、その派生が現在の自分たちにつながることをよく理解しているからである。
それを踏まえて、必修科目「歴史総合」であるが、医進サイエンスコースにおいてはその特性を鑑みて我々が平素「歴史」と呼ぶものではなく「哲学」や「宗教」を中心において思考力を磨き、それに基づく主体的な歴史観を構築していきたい。
これは決して詭弁ではなく、古代ギリシア以来の哲学は、その中に「歴史」をも内包してきた。つまり「哲学」を学ぶことと「歴史」には非常な親和性がある。この授業の目標もここにある。授業を通じ興味を喚起し,学問的裾野を広げるとともに,洋の東西を問わず哲学や宗教を理解し,思考力を高め、それを通じて自分なりの歴史観に幅を持たせられるような人材を育成することにつなげることが最大の目標である。

授業の進め方・学習方法


授業の大部分は「西洋の思想・宗教」に関することである。(もちろん分野によっては「日本や東洋」に関する部分もあるが)
・その中で人物や概念などにスポットを当てて,深めていく。単に知識の暗記に終わらせず,そのような思想が出てきた背景,その概念そのもの,そしてその影響が理解できるよう、主体的に取り組めるようグループ学習も含めた授業展開を行っていく。
さらに学期ごとに、自分がこれまで考えた価値観に変化が起こったか。起こったとすればどのようなものだったかを検討し、まとめてもらう予定である。
なお,定期考査ではそうした宗教観・哲学観などに対する自分なりの考察への理解度を図るために資料問題、論述問題を積極的に取り入れていく予定である。

授業スケジュール


学期
学習内容
1学期
古代ギリシア・ローマ思想と日本古来の信仰・思想

 1-日本古来の信仰と現代日本人への影響
 2-ミュトスと哲学(神話から始まる思考)
 3-ピュシスと哲学(万物の根源の追求)
 4-ノモスと哲学(理想的政治の追求)
 5-ヘレニズム以降のギリシア哲学(魂の平安)
‐補足‐
※ここまでの授業内容の振り返り(グループ学習)
1学期中間試験
1学期
古代オリエント思想と一神教思想と日本にも大きな影響を及ぼす仏教

 1-ゾロアスター教・仏教と現代日本人への影響
 2-ユダヤ教とその思想
 3-キリスト教の成立とその思想
 4-イスラーム教の成立とその思想
‐補足‐
※ここまでの授業内容の振り返り(グループ学習)
1学期末試験


学期
学習内容
2学期
中世・近世における西洋思想と近世・日本思想の発展

 1-ルネサンスとヒューマニズム
 2-宗教改革
 3-科学革命
 4-経験論・合理論の対立と相互発展
‐補足‐
※ここまでの授業内容の振り返り(グループ学習)
2学期中間試験
2学期
近代における西洋思想と近代・日本思想への影響

 1-観念論
 2-社会契約論と功利主義
 3-社会主義
 4-厭世主義と新しいヒューマニズム
 ‐補足‐
※ここまでの授業内容の振り返り(グループ学習)

2学期末試験


学期
学習内容
3学期
現代思想とその日本への影響

 1-実証主義
 2-実用主義
 3-実存主義
 4-フランクフルト学派
 5-構造主義とポスト構造主義
‐補足‐
※ここまでの授業内容の振り返り(グループ学習)
学年末試験

成績評価方法


種別
割合(%)
評価基準など
定期試験
60
定期試験のみならず,授業内で実施する小テスト,あるいはワークシートなどの日々の学習の成果を確認できる要素を総合的に判断する。
※特に「ワークシートの提出」・「小テスト」・「各グループ学習への取り組み」は、平常点に大きく関わりますのでそのつもりで。
レポート
0~40
小テストなど
0~40
授業での取り組み状況
0~40

教科書・教材/参考書/参考サイト


教科書・教材
書名
出版社
教科書番号/code
備考
明解 歴史総合
帝国書院
46 帝国 歴総-706

担当者からのアドバイス


・欧米諸国において、学問の最高峰に位置付けられる科目は伝統的に「哲学や神学」である。これは古代ギリシア社会以来、近世になるまで学問の分化が起きておらず、あらゆる学問の淵源として有機的に学んでいたものが今の言葉を借りると「哲学や神学」となるからである。そうした学問の成り立ちを十分に理解している欧米の研究者やビジネスマンは、理系・文系そして専門性の違いに関わらず「歴史」や「哲学」に深い造形を持つ方が多く、それが彼らの高い教養と社会的責任から来る守るべきモラルの形成にもつながっている。またその見識と言語化が、その人物評に影響することも多々あり、将来的に日本のみならず国際社会で活躍していくことが見越される本学の生徒にとってはその能力を形成することは必須である。あくまでも授業は入口に過ぎないが、是非とも思想・宗教を多面的に捉え考える本授業を導入にして、高い教養を主体的に身につける契機となれば幸いである。