2018年3月17日(土)「スーパーアカデミア 最先端と最前線の超一級講座」は広尾学園が行ってきたキャリア教育の総決算となります。
この日は日本全国から、21世紀の最先端を究めようとする科学者、最前線で活躍するジャーナリストなど、日本の現在と未来を支える方々が広尾学園に結集します。
この25講座が、生徒たちの学問への憧憬の念を育て、文化や科学技術の高みをはるかに見上げる良い機会となることを願っています。
意識はどうやって生まれるのか? 記憶の仕組みは? など。まだ答えがわかっていない疑問がたくさんあります。世界中の研究者が最先端の技術を駆使して調べてもわからないほど,脳の働きは複雑です。そんな複雑な脳はいったいどうやってできあがるのか?1000分の1ミリの世界を捉えた,実際の研究データも交えて解説します。
P,q=p-2 がともに素数になるとき pまたは(p、q)を双子素数と言います。
‘p とq=(p-3)/2 が素数になるとき pまたは(p、q)を超双子素数と言います。
この概念は10歳の少年高橋君との共同研究で生まれたものです。
私たちが暮らす陸上の世界では、太陽の光を使って光合成する生物が生態系の生産者として重要な役割を担っています。一方、深海は光の届かない世界です。深海というと圧力や低水温に目が行きがちですが、実は生き物にとって「真っ暗である」ことも大問題です。この「光合成生物のいない」世界で、ハマグリより大きな二枚貝シロウリガイは何も食べずに海底温泉に浸かって生きています。なぜそんなことが可能なのか?実際の深海調査航海の様子、シロウリガイ研究の難しさや最新の研究成果などを交えながらお話しします。
企業や個人の経済活動は、国境を跳び越え、グローバル化しています。その一方、各国はそれぞれ国家主権を持ち、独自の政策やルールを決めています。ところが、各国の政策やルールがバラバラのままだと、グローバル化する経済活動にとって障害となりかねません。そこで、各国の政策の調整や共通のルール作りがますます重要になっています。それを担うのが、国際通貨基金(IMF)や世界貿易機関(WTO)などの国際機関です。世界において重要な地位を占める日本は、国際機関の運営にも相応の役割を果たしていくことが求められます。
情報化の進んだ先進国では、5歳からのプログラミング教育が小学校で始まった。日本でも閣議決定して小学校で教えることになったが、全く経験のない先生が担当させられることになって、先生方は当惑している。 日本人はコンピュータの利用には熱心であるが、そのための人材育成を行ってこなかったため、極めて効率の悪い情報化しかできていない。その技術力はベトナムより低く、先進国はもとより東アジアでも最低である。この結果としての生産性低下が経済力低下を生んでいるのであるが、その事に気づいている人はほとんどいない。
出版/広告業に携わる、一都市生活者である講師が、どのような経緯で渋谷に畑を作り、渋谷の農家と名乗るようになったのかという足跡を伝えるとともに、海外では根付いている都市型農業(アーバン・ファーミング)の実例を紹介しながら、これからの東京でも実現可能な都市生活者だからこそできる農的ライフスタイルを伝え、未来のあり方の1つのモデルを伝えます。
新しい検査方法が次々に開発され、人間の脳の活動(機能)がかなり詳細に分かるようになってきました。しかし、まだまだ謎に満ちているのが錯視の世界です。そのものを実際に見ているのに、脳が勝手に勘違いしてしまいます。大小や長短の錯視、色の錯視、動きを感じてしまう錯視、などについて御紹介します。また、上下逆転メガネや左右反転メガネを使った実習も計画しています。 頭の中では理解しているのに、どうしても自分の思うように動けない不思議さを実際に体験してみてください。
大学には中高では習わない工学という学問があります。工学は科学技術を利用して人々の生活を幸せで豊かにするための学問です。そのため、工学者は一貫して事故やエラーの原因は人ではなくシステムにあると考えます。例えば、家事を手伝っていてコップを割ってしまった、その原因は不注意ではなくコップや環境にあると考え改良を試みるのが工学者です。本講座では音声認識を利用した失語症者のコミュニケーション支援や手話認識に関する研究開発を紹介するとともに、うっかりミスについて工学的視点から一緒に考えてみたいと思います。
弁護士の仕事の一つは,人と社会の問題に正面から向き合い,(無い頭を使って)答えのない問題について一生懸命考えることだと思っています。では,実際に弁護士はどうやって「考える」のか。弁護士が普段行う法的な考え方(リーガルマインド)について実際の事件の話も交えてお話します。具体的な事例についても一緒に考えてみましょう。「答えのある知識は“Google先生”にお任せする時代」に生まれた君たちが,変化のはやい未来を生きていくために必要なものは「考える力」かもしれません。少しでもヒントになればうれしいです。
社会医学とは、社会生活の中で発生する疾病の原因を探り、未然に拡大を抑制することである。今から約32年前に起きたチェルノブイリ原発事故がもたらしたものは、甲状腺がんのように目に見えるものだけではない。放射能汚染により住み慣れた土地を奪われ、家を奪われた避難者は、避難先でも安住の地ではない。先住者との間で問題が起きている。福島第一原発事故でも同様に心の問題が深刻化している。ひと度、原発事故が起きれば取り返しのつかない被害が長期間続くことを学び、イジメや差別について考える。
現在、わが国では個人データを含む日々出現する多種多様かつ膨大なデータ(ビックデータ)を活用して、人工知能(AI)やIoT技術の発展・普及が試みられています。しかし、プライバシーが全く保護されない社会になってしまうのではないかとの懸念も指摘されています。そこで個人データの利活用とプライバシー等の保護を調整する必要が出てきて、2015年に個人情報保護法が改正されました。 この授業は、これらの動きをふまえて、IT社会におけるプライバシー・個人情報保護のあり方を考えます。
この数年で爆発的に普及したVRやARなどの可視化技術、そして3Dプリンタなどの造型技術は、博物館の世界をも確実に変化させつつあります。この講義では、東京の地形模型へのプロジェクションマッピングや、恐竜化石の3Dデータなどを実際に見ながら、それらの技術がどう発達してきたのか?そして今後の博物館はどのように変化していくのかを考えます。
液体窒素によるマイナス約200度の超低温で起こる様々な現象を学習します。なかでも不思議な現象のひとつ超伝導について、電気伝導や磁気浮上の実験を交えながら、ゼロ抵抗やマイスナー効果を説明します。
プログラミグは、思考のツールでもある。現代では、この強力なツールを活用して効率的に思考を行なって新しい知識を発見・創出するスキルが求められる。本講演では、数学的な探求を例にとって、プログラミングが思考のツールとして、どのように利用できるのかを知る。計算は、それが得意な計算機に任せ、対象の性質やその構造を探求する思考に集中するための、一風変わったプログミングについて紹介する。数学的感性で様々な事柄を感じ、それを確かめ探求し、洗練・具現化をし、伝達・共有化していくスキルが今後ますます求められるようになるだろう。
孔子と弟子たちの言行録の『論語』は古来多くの人々に読まれてきましたが、ここでは中国春秋時代の歴史のなかで孔子がどのように生きてきたのかを探りながら、読んでみたいと思います。『孔子の教え』という中国映画の字幕監修を務めた映像を見ながら、講義を進めます。孔子はけっして人格的な聖人ではありませんでした。理想の政治を求めて弟子たちと格闘し、諸国を放浪するなかで多くの体験をします。そこから得たものは何であったのでしょうか。道徳の書ではなく歴史書として『論語』を見直します。
4K、8K、VR映像など映像は日々著しく進化しています。 しかし映像を通して視聴者に伝えるメッセージの根本的な考え方は今も昔も変わりません。 映像はある意味、視聴者とのコミュニケーションなので、見ている相手の視点に立って制作する事が最重要です。 映像制作についての企画の考え方、映像の作り方をご紹介します。
AIは人々の仕事を奪う/増やすという議論がある。AI以前にもさまざまな技術革新が人々の暮らしぶり、働きぶりを変えてきたが、それはいったいどのような変化で、そこからどのようなAI全盛時代への備えが予想できるのか。前半では現在、社会のさまざまなところで頭角を現し始めたAIの最前線を事例を交えて紹介し来るべき社会の輪郭を探る。後半では技術革新の歴史を振り返りながら、「変化」の大波を乗り越える価値は何なのかを探り、最後にAI全盛時代、人に求められる資質とは何かを考える。
デジタル技術を活用したビジネスの破壊的な変革が起きています。 こうした世の中の動きが生まれるうえで、グローバルに活動する経営コンサルタントが担う役割を解説します。 マイクソフト社「HoloLens(複合現実技術を活用したウェアラブルデバイス)」を活用した経営革新の事例の1つとして、実機を用いてご紹介します。
独立して会社を立ち上げてから一貫して持ち続けている視点は、経営上の課題解決において、いかにしてデザインが課題解決に貢献できるかというものです。デザインの概念は、かっこいいもの、かわいいものというスタイリングから、プロジェクト全体やステークホルダーとの関係性、ビジネスモデルなど、目に見えないものもデザインの対象となってきています。デザインと経営をつなぐことを意識した、地方創生や商品開発、企業の情報発信など、少しユニークな解決の仕方を、事例を通じてお伝えできればと思います。
「モノ」の本性、物質の働きの原理は、自然科学の蓄積により解明されつつあるが、「ココロ」の 本性、理解・認識・感情の成り立ちとその原理は、現代科学を以ってしても未だ多くの謎に包まれており、学問の広大なフロンティアとなっている。地理的なフロンティアに様々な開拓者が流れ込んだように、心というフロンティアでは、心理学・人工知能・哲学など、文理の垣根を超えて多様な学問が心という謎の解明にチャレンジしている。本授業では、心の中に潜む合理性・不合理性とその境界線という視点から最先端の学術的知見を優しく紹介する。
獣医師は様々な分野で活躍しています。その中でも小動物(犬・猫・フェレット・ウサギ)臨床獣医師とはどんな仕事なのか。官僚の仕事とは?もちろんこれら仕事の紹介に留まりません。クイズ形式で体感しながら学びます。専門的な手術(脳外科、心臓手術など)の動画、あなたが獣医師ならどうするのか?色んなことを私と一緒に考え、今年も眠くならない授業を目指し皆さんと一緒に楽しい1時間を過ごせれば嬉しいです。
卒業後4年間外科医として修練を積んでから麻酔科医に転向し大阪の大病院で11年半勤めた後、神崎総合病院に移って今に至ります。医学部を目指したことや当初は外科に進んだこと更に麻酔科への転向も、全て適切な医療を地方の方々に提供したいという気持ちが出発点でした。多くの経験を経て、患者さんに寄り添うことの難しさも喜びも味わい、今では傲慢な思いを抱いていた自分を省みる日々です。目標を持ち、出会いや経験を大切にすることが日々自分を成長させ、また新たな目標を与えてくれていることをお伝えできればと思います。
雲のようにもやもやしたものであっても,いろいろな意味で線引きされます.苦しくても線引きしないといけないこともあります.しかし,そもそも線引きの線とは「幅のない長さ」と定義されるものです.言い換えると線とは目に見える必要のないもので心の目でみるものと言えます.数学は「見えないがある」という究極の「こと」を扱う学問です. 本講義では,見えないはずの境界線を動かす自然なルールを定めることによって,ものとものの間に線を引く方法を紹介します.その方法を簡単な実験を実演しながら理解していきます.
第二次世界大戦後の米・ソの冷戦を背景として展開された激しい宇宙開発競争。その結果、ついに人類は月に到達しました。その後の宇宙開発は、競争から協調・協力へと進み、国際宇宙ステーションにより宇宙に長期滞在し宇宙環境を積極的に利用する活動に至っています。それらの活動の最前線を担っているのが宇宙飛行士です。華々しく脚光を浴びる宇宙飛行士の活動。しかし、宇宙飛行士は常に大きな危険と向き合っています。命をかけてでも宇宙に向かう宇宙飛行士のミッションについて考えてみます。
近年の宇宙開発は「官から民へ」「再び月へ」という二つのキーワードで表される。これまでは国が主導してきたが、技術革新により世界中のベンチャー企業が参入して価格破壊が進み、宇宙は「フロンティア」から「ビジネスの舞台」になりつつある。一方で「新たなフロンティア」として、月や火星といったさらに遠くの宇宙へ、人を送ろうとする動きも活発になっている。米国は2020年代後半にも再び月に人を送る計画を表明。月や火星に人が住む時代が来るかもしれない。日本がどういう宇宙開発の道を目指すべきなのかを考えたい。